自然を身近に感じることができる配信サービス「Forest Notes」

自然を身近に感じることができる配信サービス「Forest Notes」

「Forest Notes」は、日本国内の森林の音声と映像をライブ配信でお届けしているサービスです。24時間365日のライブ配信を通じて、都会の生活ではなかなか触れることができない自然の存在を身近に感じられるきっかけを提供しています。

JVCケンウッド・デザインは、プロジェクトの企画から、配信システムの設置・構築・メンテナンス、Webデザイン、SNS運用、アプリケーションの開発を手がけています。

Forest Notes

「森を感じる。大切にしたくなる。」

「Forest Notes」の立ち上げは2008年にまで遡ります。当時はエコデザインの実践への注目が高まっていた時期であり、プロダクトデザインの領域においては、リサイクル素材の使用や電力消費量の抑制といった取り組みがはじまっていました。本サービスは、それらとは異なるアプローチで人々の心に訴えかけることができる、感性的なエコデザインの実践方法はないだろうかと、JVCケンウッド・デザインのデザイナーたちが実施した1年間ほどのディスカッションのなかから生まれたものです。

2013年のサービス開始にあたり、Forest Notesでは「森を感じる。大切にしたくなる。」をサービスのコンセプトに掲げました。JVCケンウッド・グループの強みである音響・映像・通信技術を活かし、自然を身近に感じることができる音声と映像を配信することで、自然と触れ合う機会の少ない都会で暮らす方々が、環境保全の意識を持つきっかけとなるサービスを目指して運営しています。

冬の森の中に立つ鹿。木々の間から覗く茶色い鹿の姿。地面には雪が残っている。
冬の森の風景。雪に覆われた地面と裸の木々の間から差し込む太陽光。青空が見える。

自治体との共創を通じて地域の魅力を発信

現在Forest Notesでは、北海道知床斜里町・青森県白神山地十二湖深浦町・山梨県南アルプス早川町・岐阜県飛騨高山・宮崎県諸塚村の5箇所に設置した集音マイクの音声と、知床と東京都奥多摩の2箇所に設置した360度カメラの映像を、24時間365日ライブ配信しています。

各地域の森林にマイクとカメラを設置するためには、自治体や管理者の方々との連携が必要不可欠でした。機材の保守においては村役場や観光協会、IT・電気設備会社の方々にご協力いただいており、機材の不調を確認した際の連絡はもちろん、約2年ごとにJVCケンウッド・デザインのデザイナーが現地に赴き、機材の交換・メンテナンスをおこなっています。

配信地のひとつである宮崎県諸塚村とは、2011年よりパートナーとして本サービスの推進に取り組んでおり、Forest Notesの活動を起点とした、さまざまな共創活動を実施してきました。これまでに、諸塚村の自然の風景を撮影したフォトブックの製作や、村の小学生たちの東京研修旅行への協力など、諸塚村の魅力や地域の活性化につながるさまざまな企画に取り組んでおり、2019年にはJVCケンウッド・デザインとの「地域共創・地方創生活動に関する連携協定書」を締結。今後も現地での体験を継続して実施し、対話を通じたさらなる地域の魅力の発見や、情報を発信していくための新たな活動につなげていく予定です。

教室で大型ディスプレイを使用して紫色の森の画像を見せている講師と、マスクを着用して座っている3人の聴衆。

変化し続ける自然と野生動物たちの様子を伝える

音声・映像のライブ配信に加え、本プロジェクトではサービスの利用者の方々が自然を身近に感じることができる情報発信にも力を入れています。

Forest Notesが配信している各地の森林では、春になると渡り鳥たちのさえずりが聞こえ、キツネや熊などの野生動物たちが通り過ぎる様子を観察することができます。1年を通じて変化し続ける自然と、その中で生息している動物たちの生態を感じることができるのが本サービスの大きな魅力であり、Forest NotesのSNSアカウントでは、ライブ配信中に訪れる鳥や動物たちの情報を投稿し、より自然を身近に感じてもらうための発信を続けています。

森の中を歩く茶色のクマ。地面には倒木や草が生えており、木々に囲まれている。

デザイナーが自然に触れる機会をつくる自社プロジェクトとして

Forest Notesは、2013年のサービス開始時はJVCケンウッドとの共同事業としてスタートしましたが、2018年からはJVCケンウッド・デザイン独自のプロジェクトとして再スタートした経緯があります。

諸塚村をはじめとする各地域との共創活動や、機材の交換・メンテナンス時に各地域に訪問することで、社内のデザイナーが自然に触れる機会をつくり、普段取り組んでいるデザインにおけるサステナビリティへの意識の醸成につなげています。

また、各配信機材を設置している森林は1年を通じて炎天下・氷点下を繰り返す環境であり、本プロジェクトを通じた機材の耐久性・信頼性向上のための試行錯誤から得られた気づきは、極限状態で使用される通信・映像機器などの開発にも活かすようにしています。

冬の雪に覆われた森の中で、裸の木々に囲まれた雪道に立つ人物。カメラを手に持ち、風景を撮影している様子。
緑豊かな森の中を歩く2人の後ろ姿。木々に囲まれた小道を進む男性たち。一人は白いシャツ、もう一人は青いシャツを着ている。周囲には鬱蒼とした植物や木々が生い茂っている。
山々の眺望を写真に収める人物。美しい山岳風景と青空を背景に、緑豊かな丘の上から撮影している。
夕暮れ時の山頂からの眺め。シルエットで写る人物と三脚に乗ったカメラ。空には輝く三日月。水平線上に広がる層状の雲と山々。

Team

Hiroki Yaginuma
  • Project Leader
Hiroyuki Kuroiwa
  • Technical Direction
Daisuke Hachiri
  • UX Design
Arwa Borsadwala
  • UX Design
Ryusei Akaike
  • UX Design

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